ペットアーカイブ・犬 犬に関する飼育や健康、行動学の書庫です
子犬を育てる- 子犬の心情を理解できる人がいるでしょうか。リスに夢中になり、残飯を大好きなおやつとし、飼い主にとって特別な、お手製の革ジャンを紙ふぶきのようになるまで噛んだかと思えば、そのことを全て忘れさせるような無邪気な愛情や愛慕の念のこもった表情を見せる。このような行動には、最も良心的な飼い主でさえも当惑し、やきもきするだろうが、それは当然なことなのです。子犬を家に連れてきたときから、その子犬は家族の一員となる。つまり、家や持ち物、さらには子供まで子犬にゆだねることができなくてはなりません。だからこそ、子犬の行動を管理することが、その犬と平和な関係を保つ鍵となります。
飼い犬を信頼できる良き仲間にするためには、いくらか訓練をしなくてはならないでしょう。例えば、結び目つきの古いスウェットソックスを噛むのはよくて、アイリッシュレースのテーブルクロスを噛むのはいけない、ということを子犬にわからせるためには訓練より他に道はありません。子犬は、穏やかに優しく、そして一番重要なことだが、継続的に適切な行動を教わらなくてはなりません。子犬を家族に迎え入れると同時に、飼い主への従い方や人間や他の犬の中での行動の仕方、そして基本的に最も行儀のよい犬になる方法を教え始めることができます。
[ボスとしての飼い主]
私たちは、何を考えて犬が目を回すまで自分の尻尾を追いかけるのかを正確に知ることは決してできないでしょうが、他との関係を犬がどう捉えているかについての見識はいくらか持っています。野生の犬は群れで生活したり狩りをしたりします。だから飼い犬にとっては、飼い主やその他の家族の人々が群れのメンバーなのです。これは重要なことです。というのも、どの群れにもメンバーの間に組織的な力関係があるからです。人間の「群れ」の中に、支配的または「アルファ(ボスとして)の」リーダーがいなければ、つまり、好きな時にソファーに跳びのったり、散歩中飼い主をひもで引っ張ったり、お願いすればおやつがもらえたりできると学習すれば、自分が仕切りたいと思う犬もいるかもしれません。しつけを教わったことのない犬は、思春期に達すると自分の限界を試そうと攻撃的になるかもしれないのです。命令を無視したり、跳びのってはいけないところに跳びのったり、自分の餌や「テリトリー」を守るためにうなったりし始めるかもしれませんし、極端な場合には、噛みつきだすこともあるでしょう。飼い犬との平和的で扱いやすい関係を保つためには、始めから飼い主がリーダーとしての地位を築くことが大切です。しかし、そうするために犬を身体的に脅かす必要はありません。アルファ・ロール(お腹が見えるように犬を仰向けにすること)から犬の鼻に実際に噛みつくことにいたるまで、物理的な力で飼い主の支配を確立する方法を推奨している訓練士もいますが、この方法は、犬をおびえさせたり防御的にさせたりする可能性があり、犬による攻撃さえも誘発しかねません。犬に向かって声を荒げる必要もありません。叫ぶことも、犬を神経質にし、攻撃的にする可能性があります。
本当のところ、こういった攻撃的な行為によって支配的な立場を誇示する必要はありません。たいていの犬がリーダーに従うことに完全に満足しています。実際、犬は従う人がいることで自信がつき、安心感を得ています。群れの良きリーダーとしての仕事は、深く安定した声で話したり、犬を神経質にさせるような状況に落ち着いて対処したり、良い行動に対してのみ褒美を与えたりすることによって強さを示すことです。飼い犬が座ったり寝転んだりするよう訓練することも役立ちます。命令によって、飼い犬にくり返し低く服従的な姿勢をとらせることで、飼い主の支配的な立場を強調できます。それでも難しければ、攻撃的にならずに飼い主の支配的立場を確立できるよう作られた特別な訓練について獣医に聞いてみましょう。
[社会生活]
社会を学ばせることは若い犬を訓練するために飼い主ができる最も重要なことの一つです。子犬は、赤ちゃんと同じくスポンジのようなもので、自分たちの世界に関するあらゆる情報を吸収しようとしています。生後1ヶ月間は、午後の日差しを浴びながら眠るのによい場所や、缶きりの音が晩御飯を知らせることを学習します。これと同じ時期に、人間や他の犬たちと仲良くしたり、慣れない状況で落ち着いたりできるように教えることは飼い主の仕事です。これはモコモコした家族の一員のために飼い主ができる最も大切なことの一つです。子犬は、見知らぬ人間や動物を怖がらなくなればなるほど、防御的になったり他の犬や子供にまで攻撃を仕掛けたりしなくなります。子犬の社会化は生後3週間から4週間の間、つまりほとんどの人が新しいペットを家に連れてくる前に始まります。これは、ある程度の仕事が飼い主の管理外にあることを意味するのです。もし子犬が無頓着な持ち主やブリーダーに育てられていたなら、新しい飼い主はその子犬を連れて帰ってから苦戦を強いられるでしょう。うれしいことに、子犬は生後約12週間になるまでその社会化を続けるので、飼い主がその子犬によい経験をさせるための時間はたっぷりあります。まず始めに、子犬が飼い主やその家族と仲良くなるようにすること。子犬をなでたり、子犬の身づくろいをしてあげたり、子犬と遊んであげたり、子犬に話しかけたりしましょう。そして、基本的に子犬に愛情をたくさん注ぎましょう。愛情や食料、優しいリーダーシップの面で子犬が飼い主を頼れることを示してください。
子犬が飼い主に安心し、全ての予防接種を受け終えれば、子犬に広く大きい世界を見せてあげることができます。公園や友人の家、犬に優しい店といった、ワクワクするような新しい場所に子犬を連れて行きましょう。子犬が優しい人々に出会え、社会をよく学んだ犬たちと遊べる機会をたくさん作るようにしましょう。飼い主やフレンドリーな獣医、専門家が子犬をたくさん撫でてあげることで、獣医に行くことを楽しくするようにしましょう。監視の良く行き届く環境で、子供にも子犬を紹介しましょう。落ち着いて子犬に話しかける方法や、優しく子犬を撫でる方法を子供に教えてあげましょう。
新しい状況で神経質そうにしていたり、見知らぬ犬に向かって逆毛を立てていたりしても、子犬を叱らないようにしましょう。声を荒げても子犬をもっと神経質にさせるだけでしょう。子犬を慰めようとすることも裏目に出るはずです。おびえたり攻撃的になったりするたびにたくさん撫でてもらい、優しく語り掛けられ、気にかけてもらえば、子犬はこのように反応することは良いことだと学習するかもしれません。その代わりに、できるだけ子犬の気を散らすことです。子犬に向かってボールやおもちゃを投げたり、子犬の好きなゲームを始めたりしましょう。子犬がゲームに熱中し、怖がっていた人や犬を気にしなくなったら、たくさん褒めてあげましょう。子犬は恐ろしい状況を楽しみや遊びの時間とすぐに結びつけ、社交的な犬になるでしょう。
[ポジティブに考える]
飼い犬の訓練について考える時、たいていの飼い主は否定的にとらえます。飼い主は子犬に家具を噛まれたり、カーペットにおしっこをされたり、客に跳びついたりして欲しくはありません。しかし、これは子犬の立場からすると多少困惑を招くことになりかねません。自分が家に一匹で残された子犬だったとしましょう。そして、ローファーを噛んだり台所にごみを撒き散らしたりして一日の大半を過ごしたとします。それから1時間うたた寝をし、家族が帰ってくると玄関までお出迎えに行く、と、突然、家族が何度も叫んだり、「なんてことだ!」と言ったりして自分に応える。自分は何をしでかしたのだろうか?ローファーを噛んだことが悪かったのだろうか、それとも家族を玄関で出迎えたことだろうか?代わりに自分は何をすべきだったのだろうか?自分がして欲しくないことを子犬にさせないための鍵は、子犬に前向きな選択肢を与えること、つまり、自分が何をして欲しいかを子犬に教えることです。例えば、子犬が外に出たそうにして居間を跳び回っているのを見たら、すぐに外に出してあげましょう。子犬が外に出ている間中子犬の側についてあげ、トイレをしたらすぐにご褒美やおやつをあげて褒めてあげてください。こうすることで、子犬は外に出ることは良いことだと学習します。噛んで欲しくないものを子犬が噛んでいるのを見かけたら、「お気に入り」のおもちゃを使って子犬の気をそらしてください。子犬が自分のおもちゃを噛んでいるところを見かけたら褒めてあげましょう。これが効果的な訓練の鍵です。つまり、跳びかかるのではなくじっと座っていたり、ベッドではなく床で眠っていたりといった、何か良いことを子犬がしているところを見つけようとすることです。こういった行為に気がつくようにし、注目したり褒めたりおやつをあげたりすることで子犬に見返りをあげるよう努めてください。
訓練は段階を追うものです。そして、一人で進むには険しい道のりかもしれません。家族全体が訓練計画に貢献し、子犬が完璧に振舞えた時と同様、行儀悪く振舞った時も、家族全員が同じように対応できるようにすることは重要です。訓練を行う時には継続的に、そして何よりも辛抱強く行わなくてはならないことを覚えておきましょう。子犬は間違ったことをたくさんするだろうし、飼い主の持ち物をいくつか壊してしまうかも知れません。しかし、たいてい子犬は、ただ飼い主を喜ばせたくて仕方がないのです。子犬は、飼い主がなれると信じているような良い犬になるために、飼い主の愛情や注目、そして指導を必要としているのです。
これらの決まりを守れば、飼い犬が噛まなくなるというものではありませんが、確実に噛む確率を下げることはできます。しっかりつながれていて、きちんとしつけられている犬は、犬種に関わらずどんな犬でも全く安全なのです。実際は、無責任な飼い主こそが、どんな犬よりもずっと危険なのです。
噛むこと・穴を掘ること- 子犬が自分を取り巻く環境を探検するのは自然なことです。しかし、お気に入りのスリッパを噛まれたり、花壇を掘り起こされたりすると、子犬の自然な好奇心も飼い主にとってはしばしばいらいらさせられるものとなります。いたずらな子犬にお仕置きをしたいという衝動に駆られるかもしれませんが、よい行いを強調する方がかなり効果的でかつ飼い主にとっても犬にとっても幸せなのです。
[噛むこと]
何かを壊すまで噛むのは不安だからかもしれません。飼い犬に、常に飼い主の側ではなく、犬用ベッドやかごで横になるようしつけることは大切です。求めればいつでも飼い主がかまってくれるわけではないと教えれば愛犬の不安を軽減できるかもしれません。分離不安を持つ犬の場合は、短時間側を離れることから始め、離れる時間を徐々に長くしていき不安を軽減してあげましょう。噛み付き防止スプレーやシトロネラ油、または少量の粉末トウガラシを水で溶いたものを使って、飼い犬が家の中のものを噛まないようにすることができるかもしれない。
噛んでも良い犬用のおもちゃを与えることは、歯が生える際伴う痛みを和らげると同時に、子犬を夢中にさせる素晴らしい方法です。どんなおもちゃが一番好きかを知るために、あらゆる種類のおもちゃを子犬にあげましょう。しかし、家の中にあるもので犬に噛んで欲しくないものに似たおもちゃ(例えば靴の形をしたおもちゃ)をあげてはいけません。子犬が飽きないように異なるおもちゃを交代で与えてください。そして、子犬がおもちゃを噛んでいたらご褒美をあげて褒めてあげましょう。
[穴を掘ること]
なぜ犬が穴を掘るのかについては理由がいろいろあります。涼むためやネズミ類を見つけるため、骨やおもちゃを埋めたり見つけたりするため、監禁状態から逃れるため、ただ楽しむため等です。犬は、他に気晴らしがないまま一匹にされたとき、より穴を掘る傾向が見受けられます。常に犬に刺激を与え飽きさせないようにするために、おもちゃを与えたり、遊びや運動の時間を増やして犬を疲れさせたりするようにしてください。もう一匹犬を飼うことを考えるのもいいかもしれません。地面を土から岩またはコンクリートに換えたり、スプリンクラーを入れたり、犬の側に小石をつめたアルミ缶を投げたりして犬を驚かすといった遠隔操作でお仕置きをすることによって、穴を掘る気をそぐことができます。飼い犬が穴を掘ることをやめない場合は、穴掘り専用の場所を与えて犬に適切に穴を掘らせるのもよい考えです。
[ペットの問題行動を防ぐ10のヒント]
- すぐにルールを決め、それを遵守しましょう。
- よくない行動を助長するような状況を避けましょう。
- ペットをよく観察し、好きそうなものや集中できそうなものを与えてください。
- 注意や訓練を一貫させ、新しいペットをしっかり見守ってください。そして、訓練が完了するまでは家の中での子犬の行動範囲を制限してください。
- 褒めたりかまったりすることでよい行動を助長してください。
- スリッパの代わりにおもちゃ、ソファーの代わりに爪とぎといったポジティブな選択肢を与えることで悪い行動を矯正してください。
- 絶対に体罰を与えたり、命令に対して服従を強いたりしないようにしてください。おびえて噛みついたり攻撃的になったりすることがあります。
- 荒っぽい遊びや、攻撃性や噛みつく遊びをさせないようにしてください。
- 自分のペットにそのように生きて欲しいと思う人間や動物、環境にふれさせてあげましょう。
- ・ ペットの行動に関し、深刻または直らない問題があれば獣医に相談してください。


